• Shard London Bridge

    Posted on 8月 13, 2012 by in 建築, 未来のロンドン

    ロンドン・ブリッジ駅の南西側、欧州で一番高いビルとなる(尖塔高310m)レンゾ・ピアノ建設設計、ひときわ目を引く尖りピラミッド『シャード(Shard)』。2008年9月に着工、2012年7月5日に外構が竣工し、内部は現在も建設中。公式オンラインサイトで、2013年2月1日、一般公開となる展望スペース『ヴュー(View)』はチケットの予約販売を開始している。

    シャード68階〜72階部分・地上310mの景色を臨むための入場チケットのお値段は、大人が24.95ポンド・子供が18.95ポンド。世界一高いタワーで地上450mの東京スカイツリー展望回廊が、入場料3,000円、と、ロンドン・アイのスタンダードチケット15ポンド代、エッフェル塔14ユーロと比べて、結構な割高感も、話題となっている。

    英紙『ガーディアン』記者は、

    ■ 隣接エリアでは2番目、地上183メートル(ロンドンでは7番目の高さ)の「タワー42」にある「Vertigo 42 bar」のシャンパンが一杯14ポンドで飲めるっていうのに・・・。

    ■ 85メートルの高さにあるセントポール大聖堂、528段の階段を自分で上ってそれだけ上った感じも体感できて、先にあるゴールデンギャラリーなんて、1ポンドちょっと。

    ■(同じく英紙には冷ややかな反応も多く見られた)オープンしたばかりの 地上90メートルの 『エミレーツ・エア・ライン(Emirates cable car)』(ロープウェイ) に至っては、大人片道たった3.20ポンドなんだ(往復6.40ポンド)。

    ■ パーラメントヒル(98メートル)、プリムローズヒル(78メートル)、グリニッジヒルなんて、ただで(あれだけ素晴らしい)眺めが見られるんだぜ。
    まったく『シャード』なんて、ぶつぶつ・・・。

    と、歩眺めがよいとはいえ、歩いてのぼれる歴史的な建物や丘と、展望エレベーターの値段を比較するのはどうなん(笑)と、思わず、突っ込みを入れたくなる、見事にボロクソな皮肉っぷり。

    でも、そのロンドン・アイも、1998年のオープン前後は、そんな風に戸惑いと皮肉の混じった受け入れ方で揶揄されていた時期も。もちろん、今でも地元のロンドナーにとって、そうそうしょっちゅう乗るものでもない、割高感はあるかもしれませんが、ウォータールー・ブリッジから、国会議事堂にかけてテムス河の風景にはもはや欠く事のできないロンドンのシンボル的存在として愛されています。

    そもそも、オリンピック開催前にも『地元の住民にとっちゃ大したメリットもないし』『オリンピックロゴもイマイチだね』とか、地元ロンドナーには、ミーハーなお祭り騒ぎを良しとしない、冷ややかな反応をしている人たちも多かったように感じていました。開催期間中、心配された工事の遅れやテロの危険もなく、大勢の蔭で支えるボランティアスタッフの対応、交通機関の方々の機敏で親切な対応、試合会場のスタッフの方々の対応や、街の雰囲気など、『やればこんなにできるんだ』開催都市ロンドンとして、予想を遥かに超える120%の大成功だったようにも感じました。一旦なブツブツ言っておきながら、創造力、努力、そこから生まれる感動には惜しみない拍手と協力、賛同するロンドナー。

    なんだか憎めません。

    さて、ロンドナーの誰もが、古い物に対する愛着をどこかしら持っており、新しい創造物に対しては、心の中では期待する向きもあるものの、最初は慎重で様子見、どこか皮肉っぽい 〜 このロンドンに誕生したタワー『シャード』。10年後には愛着を感じる風景の一部に生まれ変わっているのでしょうか。

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