• Hay Fever – London Plane Tree

    Posted on 6月 24, 2013 by in 小路・路地裏, 花・緑, 風景

    夏らしい青空、25度を超えたのは、今年になってたったの1日か2日、後は、なかなか太陽が顔を出してくれないどんより雲の寒い今年のロンドン。

    先日も英国ガーディアン紙で「Don’t worry, summer is on its way – but you might have to wait until 2023. 」 イギリスは「雨・曇りがちな夏の10-20年のサイクル」に入っているという可能性があるなんていう、悲観的な記事も出た程の「ひどい(awful)」お天気。

    6月15日から、あちこちで夏物のセールが始まっていますが、ロンドンにいる限り、一度も袖を通すチャンスがなかったりと思ってしまう、半袖・ノースリーブやショートパンツ、サンダルなどが虚しく『50%off』、『30%off』などの札をつけられてセールになっています。

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    6月、あちこちで開かれているサマー・フェア、この寒さで、ピムズやシャンパンなどの屋台の売上もあがったり。

    それでも、季節は見えないところでちゃんと進んでいて、ちょうどサマーセールが始まった6月15日前後から、何度もくしゃみをしたり、鼻が詰まって頭が重かったり、目がかゆくて涙ぐんだり、喉がかゆくなったり、咳き込んだり、「こんな寒いし、風邪かな?」。初めてロンドンにいらっしゃる方でも、そんな症状に悩まされている方、いらっしゃるのではないでしょうか。

    その正体は、キター!もしかしたら、花粉症かもしれませんよ。

    イギリスでは、花粉症は「Hay Fever」ー「ヘイ・フィーバー」。

    日本では、花粉症といえば、スギ花粉症の患者さんが一番多く、花粉の飛ぶ2月〜4月はマスク姿の方をたくさんお見かけしますね。

    でも、ロンドンの花粉の季節は春後半あたりから夏〜秋にかけてが一番盛んな時期。英語で花粉は「Pollen」。

    ゴルフ、ガーデニング、庭園巡り、ピクニック、バーベキュー、ウィンブルドンやロイヤルアスコットなどのスポーツ観戦など、日の長いロンドンで一番屋外を楽しめるはずのこの時期だからこそ、日本の花粉症とほとんど同じアレルギー症状を発症している人がたくさん。目のかゆみと鼻水、さらには息がしづらいとか呼吸器官にまで影響して、十二分に楽しめない方もたくさんいらっしゃいます。お天気予報にも、連日、Pollenという文字が登場します。これは日本の「花粉情報」と同じ。

    道で信号待ちなどをしていても、近くの人が、誰かしら一人くしゃみ!そんな光景にもよく出くわします。くしゃみをしている人を見かけたら「お大事に(Bless You!)」と声を掛けるのがならわし。

    ロンドンの花粉症は、5月からすでに始まっている方もいて、その多くは「芝花粉症」芝花粉(Grass Pollen)〜 芝は個人のお宅でも、ちょっとした空き地でも、公園でも、ゴルフ場でもそこら中にありますものね、たまったものではありません。

    そして、6月中旬からは、街路樹のロンドン・プレーン(プラタナス)の花粉が大量に空を舞い始め、フワフワの小さな綿毛が宙に舞うのがはっきりと目に見え、部屋の窓際の埃にも入ってくる時期、ウィンブルドン観戦の始まる6月下旬がまさに「プラタナス花粉症」の人には一番辛い時期でもあります。(もちろん、イギリスの花粉症にはこれ以外の発生源もあるようです。詳細はこちら→ イギリス情報サイト UK INFO

    都市化によって、ロンドンはやはりアスファルトで舗装された道が多く、花粉が地面に落ちても、空気の乾燥しているここではすぐに舞い上がってしまい、いつまでも飛び続けているとのこと。

    このスズカケの木は、日本でも街路樹にもっとも良く見られる樹種の一つであり、乾燥や強風、公害にも比較的強い樹種なので、都市計画の整備上、多く使われてきましたが、最近は葉が大きくて、落葉した際の清掃が大変だとか、繊毛が喘息に良くないなどという事もあり、日本では使われる頻度が少なくなってきたそうです。

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    スズカケノキ、英語では「プレイン・ツリー(Plane Tree)」、あるいはその先にロンドンをつけて、「ロンドン・プレイン・ツリー(London Plane Tree)」と呼ばれます。
    
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    リトル・ベニスの運河沿いを包み込む、ロンドン・プレイン・ツリー。
    ロンドンの街路樹は、どこもかしこもこのロンドン・プレイン・ツリー。

    ロンドンにいらして、体調が優れない場合は、海外保険のキャッシュレスサービスを利用できる(会社によって異なります)

    といった日系医療機関で診察を受けることをお勧めします。

    どうしてもすぐに薬を飲んで対処したいという方は、イギリスではどこの街にも必ずといっていいほどある薬局・ドラッグストア「Boots」に、薬剤師さんのいるカウンターがあり、そこでHay Feverと伝えると、症状の相談にのってくださり、以下のような飲み薬や鼻用のスプレーを処方してくださる場合もあります。

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    ただ経験から言っても、一人一人のアレルギー症状によって、またその年の体調によっても、どの薬が効く、または、全く効かず症状が緩和しないと個人差もございます。
    また、イギリスでも、アロマセラピー、ホメオパシー、ハーブ、バッチフラワー・レメディ、サプリメントによる予防・治療など代替療法も発達しているので、それぞれの方が予防・症状緩和に向け、いろいろな方法を取捨選択していると言えると思います。

    本文に掲載している情報は、あくまでも市販のHay Feverの薬としてこういったものが売られているというご紹介のみとご了承ください。

    ※ お薬をお使いになる際は、ご自分の判断でなく、必ず医師や薬剤師にご相談ください。

    そして、最後に日本では花粉症の方には欠かせないマスク。

    イギリスでは、マスクをしている大人も子供も一人もいません。単に習慣の違いかもしれませんが、マスクをしていると却って何か悪い病気を持っている人なのかと奇異な目で見られるほどです。

    ちょうどココロンドンが渡英してきた2002年から2003年にかけて、中国で重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行している頃などは、ロンドンで、あるいは空港で(本人は別の理由で、マスクをつけていても)マスクをしている東洋人というだけで「もしかして・・・」という目を感じた程、奇異な存在でした。

    日本人は花粉症はともかく、風邪やインフルエンザの人も(子供は別として)大人の場合は「人様にうつしてはいけないからマスクをする」といったマインドも文化背景にあると思いますが、
    イギリス人はそんなことはお構いなし。むしろ、風邪やインフルエンザだったら「外に出ず、家にいるのが、自分のためでもあるし、周りにも親切だろう」ということのようです。

    というわけで、イギリスにもこれだけ花粉症に悩まされている人がいても「マスク」をしている人はいませんし、Bootsなど薬局の花粉症対策コーナーにもマスクは売っていません。

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    冬にはすっかり葉も落ち、丸い実がまるで鈴がなるように見えるから「スズカケ」の木、この時期はオシャレなんですけどね。
    
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    今年は、花粉症以外にも、なんだか風邪をひきそうな寒さの「夏」ですが、どうぞ、皆様、1枚多い防寒着と傘のご準備をお忘れなく、ご自愛くださいますよう。

    今日からいよいよウィンブルドン2013が開幕 ― そこでくしゃみをしているあなたへ「Bless You!」

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