• London Bus in a Spring morning

    Posted on 4月 24, 2013 by in I Love London

    最近は車や徒歩、チューブの移動も多く、毎日は使わなくなっていた、地元のLondon Bus。今朝は、最寄り駅から、ラッシュとは反対方向に6つほどの停留所の場所に行くために利用。

    ここ数日Londonは、一気に春の青空、20度近い気温に上がったこともあり、久し振りに出してきたヒールサンダルに素足で、バスに乗り込もうとした途端、サンダルの紐がプチッと切れてしまった。

    それでも、バス車内には、ぱらぱらと8名程度と、結構空いていたので、紐のことはとりあえずホッとして、バギー・車いすスペースのすぐ後ろの席に座り込むと、バスは発車しているのに、なんだか運転手の横が騒がしい。

    たまに支払い料金不足のことで、運転手と乗客がもめたりするのは見る事はあるが、同じ停留所で私の後から乗って来た白人のおじさん(50代で若干はげあがり、小柄、リュックサックにスニーカー、サングラスで小綺麗な容貌)はどうもそういうことではないよう。

    そのおじさんは、What’s your name?と、肌は若干褐色、ヒゲ、穏やかな容貌の運転手が運転する横で、運転席のプラスチックパーテーション越しにしつこく聞いている。

    何が始まっているのかと耳を澄ましたら、”You cannot tell me? It’s your fxxxing privacy?”と歩み寄っている。次の瞬間、すでに運転を始めている運転手が”Michael Jackson”とだけ答えた。そのやり取りだけが聞こえて、すでに座っている乗客たちは、一旦爆笑。

    すると、おじさんはさらに暴力的な態度になり、英語にすると「ふざけんじゃねー、お前なんか、俺がオフィスに一本電話いれて、クレームすれば、すぐに解雇されるんだからな」とブラディー、Fワードを急に連発。運転手は、それでも運転に集中するように、”Maybe, Stevie Wonder?”と交わした。

    その後も、おじさんは、運転手に吐き捨てるように、さらには後ろの乗客にも演説するように、ブラディー、Fワード満載の<運転手解雇宣言>を連発し、一番前の横向きの席にやっと座り込んだ。

    私がサンダルの紐に気を取られていたからではなく、どう考えても、おじさんは何か運転手に言われたからではなく、運転手に何かを仕掛けるように名前を聞き出し、イチャモンをつけ始めたようであった。それが証拠に、運転手のいったい何が問題なのかはいっこうに口にしなかったから

    なんてひどいと思っていたら、座席に座っていたイギリス人の小学生の女の子を連れた女性が「あなた、何があったかしらないけれど、運転中に運転手さんに食って掛かるのは危険だし、子供の前で、なんてひどい言葉使いするのよ。運転手さんよりあなたがおかしいわよ。」と口火を切った。

    白人のおじさんは、今度はその女性に食ってかかり、Fワード連発。You are a stupid woman!とまで言い放った。女性はあきれて、Calm down!と言って相手にせず、私たちが乗った次の停留所で、女の子と手をつないで降りて行った。

    その次の停留所に行く間に、今度は老齢、ほっそりとしたワンピースに身を包んだ、美しいイギリス人白人女性が、立ち上がって、降り口に立ち、座っている彼を論理的にいさめる。

    「運転手さんは何も悪い事はしていないでしょ?自分で恥ずかしいと思わないの?」と語りかけた。

    しかし、この女性にも「お前に何がわかるか、このFxxxing stupid woman! 彼なんか俺がオフィスに連絡してクレーム入れれば、すぐに解雇されるんだ!」と言い放った彼。

    この瞬間、私を含め、残りの5名の乗客にもさらに気持ちの変化が。私もそのイギリス人女性に向かって” I am on your side!”とつい声をかけてしまった。

    すると、私のすぐ後ろに座っていた中南米系の30代くらいの女性が、ついにたまりかねたのか立ち上がり、彼の前を通り過ぎ、停車中の運転手に駆け寄った。

    「この人が、本当にオフィスに連絡したら、あなた何も悪い事していないのに職をなくすかもしれないでしょ?今の一部始終を私たちは見ているし、あなたがそんな目にあったら困るから、私たちの携帯番号をあなたに渡すわ。だから、何か困った事があったら、オフィスから連絡もらえば、私たちが証明するから。ね、ねえ(客席に向かって)みんな、携帯番号渡すのいいよね。」

    運転手は紙とペンを渡し、その女性は車内に残っていた5名の連絡先を集め始めた。もちろん、私も署名。車内(気がついたらみんないろいろな人種の女性たち!)の全員が署名。

    それを、運転手に手渡して、女性はもう一度

    「この人が、本当にオフィスに連絡したら、あなた何も悪い事していないのに、職をなくすかもしれないでしょ?今の一部始終を私たちは見ているし、あなたがそんな目にあったら困るから、私たちの携帯番号を、はい、あなたに渡すわ。だから、何か困った事があったら、オフィスから連絡もらえば、私たちが証明するから。」と念を押した。

    私とおじさんが乗ってから、ここまでで3つ目の停留所。

    おじさんは、ついに口をつぐみ、車内はすっかり静かになり、次の4つ目の停留所でバツが悪そうに降りて行った。

    この気持ちのよい快晴の朝に、何があったか知らないけど、まるで犬のように吠えるおじさんの暴力的な態度と、車内の一人の女性による大人な対応による一件落着、バスルートにして、たかが10分程度の時間。

    具体的に身体に及ぶ暴力がなかったから言えることかもしれないけれど、なんだか「ドラマ」のようなやり取りだった。

    思わず初めて運転手の顔と目を確認し、”Thank you, take care and you will have a lovely day.”と声をかけてから、そこからすぐの目的の停留所で、私はバスを降りた。

    そういえば、私の左のヒールサンダルの紐、切れてしまってたっけ・・・。

    London_bus_finchley_road_240413

    Copyright (C)  2011-2013 cocolondon 暮らすようにロンドンのまち歩き All Rights Reserved

     

     

    ツイートツイート