• Flowers to lift your spirit

    Posted on 4月 3, 2013 by in LSE Cities Programme Projects, 季節・天気

    1960年以降の観測史上、最も寒いイースター・サンデーを迎え、同日、日本との時差が9時間から8時間へ、いわゆる「サマータイム」に変更になっても、まだまだ気温はゼロ度前後をウロウロしているロンドン。

    春分を過ぎ、確かに夜明けと日の入りとの間隔は確実に延びているけれど、ポーランド、ロシア、ハンガリーなど大陸、東欧では雪も相当降っており、ロンドンも外を歩けば、帽子・手袋・マフラーを通し、冷たい風にカラダや指先が痛みを感じるほどの寒さ。

    ”カレンダーは春になりましたが、まだまだこの天候では、「うつ」に似た「季節性情動障害」(Seasonal affective disorder=その名もSAD)にかかる人も多いので引き続き注意してください”とニュースでもコメントされるほど。

    寒く感じるのは気温だけじゃない、昨日久しぶりに青空が広がったからこそ実感する、太陽の「光」=日差しが本当に少ない冬、そして今年3月、4月のロンドン。

    それでも、子供の春休み中の今日は、Holborn駅周辺に用事もあり、Aldwich、The Somerset Houseを抜け、Waterloo BridgeからWaterloo駅を歩いてきました。

    用事があったのは、今からちょうどもう10年も前、ロンドンに暮らし始めたばかりの頃、通ったロンドンの大学院(LSE)のキャンパスがあるエリア。

    ここに来るとどうしても、10年前、この辺を毎日歩いていた頃の自分を思い出します。1ポンドが200円近く(185円くらい)、日本から来たばかりの当時、£円換算がどうしても辞められず、サンドイッチ+ボンとリンゴかオレンジどちらか丸ごとフルーツを選ぶだけのランチが、4ポンド以上(800円ぐらい!)とロンドンの物価の高さが、どうにももったいないとお弁当を作ったり、ランチを抜いてしまうこともあった頃。

    The Somerset Houseは、キャンパスから徒歩3分、Holborn駅から徒歩6分、Covent Gardenからは徒歩8分。年度の一番最初の研究発表テーマとして、インド人留学生の建築家と2人ペアで与えられた課題の場所であり、それは何度も何度もあらゆる方向からいろいろなルートで歩き回り、地図や写真を集めた場所。そして、秋・冬・春・夏と学校のある日はほぼ毎日通っていた場所。

    だからこその思い入れと刷り込みも当然あるでしょう、Waterloo Bridgeからテムズ河をロンドンを南北にまたぎ、東にバンク、セント・ポール大聖堂、Oxoタワー、ガーキン、そして新しくできたばかりの高層ビル・シャード、西にロンドン・アイ、国会議事堂、ビッグベン(新名称エリザベスタワー:定着したのかしら?)が左右に一望できる、この景色が、私にとっての「ロンドン」。

    Covent Garden周辺に行かれるお客様にも、この橋からの景色と徒歩ルートもしくはバスルートはどうしても一度見ていただきたいとお勧めしてしまいます。

    ロンドン最古の橋・ロンドン・ブリッジとはまた違い、ミレニアム以前のロンドンの過去と、そして、ロンドンの現在を同時に感じ取れる「橋」。
    そこは、私にとっても、ちょうど10年前、ここからロンドンを眺めていた自分と今ここを渡る自分をつなぐ「橋」。
    「橋」から見える景色には、そんな過去と現在と未来が同居する不思議な力があり、目を止めることで、今の瞬間ここ(現在)の自分を確認できる — 言ってみれば、目を開けながら、移動しながらの「瞑想」スポットのような効果すらあると思ったりします。

    そして、冬のロンドンの景色は、ロンドナーにとっては、まるでモノクロ、色のない世界。
    そこに、太陽の「光」が差し込み、青空、花や緑、河の水に「色」が加わり、鳥のさえずりといった「音」や、木々や花の「香り」が空気に加わり、気温だけでなく、まさに五感すべてで感じるまちが色彩を帯びる春。

    寒風吹きすさぶ中、まちあるきの途中や橋から見える景色を行き交うダブルデッカー・バス、まだあちこちに残る公衆電話ボックスの「赤」に励まされ、パワーをもらいながら、光が景色を織りなす「春」の訪れをもうしばらく待ちこがれる4月になりそうです。

    1-IMG_8321

    1-IMG_8322

    1-IMG_8331

    1-IMG_8377

    1-IMG_8386

    1-IMG_8389

    1-IMG_8391

    1-IMG_8404

    ツイートツイート