• Heston Blumenthal at Home

    Posted on 11月 4, 2012 by in カフェ・レストラン, スーパーストア, 食べ物, 駐妻ライフ

     

    2002年渡英してきた当時、偶然、日系銀行員だった大学の後輩・友人(男性)Sさんがロンドンにすでにご夫婦で駐在をされていました。結局、ロンドンで直接会う機会はなかったSさんは、お父様が日本のホテルのシェフを勤められ、クラシック音楽をこよなく愛し、大学時代には「小さい頃は指揮者になりたかった」と語っていた人 ー 忙しい日常の合間にも、ロンドンならではの生活を満喫されていたようです。本帰国後、しばらくして銀行を退職し、夫婦でワイナリーをオープンさせたいとの夢をかなえるためフランスに渡ることになるほど「食通」の彼は、2004年末に本帰国する際に、私に送ってくれた挨拶のメールの中に「ロンドンに駐在している間に絶対に訪れてほしい英国のレストランのベスト3」リストを書き残してくれていました。

    * そこに書かれていたひとつのレストランが、ロンドンから車で西部へ45分のブレイ(Bray)という村に、1995年にオープン、2004年よりミシュラン3つ星を獲得、シェフ、ヘストン・ブルメンタール(Heston Blumenthal)による、The Fat Duck

    * レストランのもう一つは、なんとその同じ村・ブレイにあるもう一つの3つ星レストラン、ミッシェル・ルー(Michel Roux初代シェフ)から引き継ぎ、今は息子のアラン・ルー(Alain Roux)が指揮を取るThe Waterside Innここは2010年には、フランス国外にあるフレンチ・レストランで唯一25年以上に渡り、ミシュランの3つ星を獲得し続けているレストランに認定された由緒あるレストラン。

    *    最後はオックスフォードシャーにあり、過去20年以上に渡り、ミシュラン2つ星を獲得し続けているカウントリーハウスホテルのモダンフレンチ、Le Manoir aux Quat’ Saisons 。

    でした。

    さて、この2004年にいただいた、さすがのSさんによるセレクト・リストの中で、他の由緒ある2軒のレストランと並んで、当時はセレブ・シェフとして頭角を現し始めたばかりだったであろう、ヘストン・ブルメンタール。

    今や、それから8年の月日が流れ、もはやメディアでその名を目にしない日はないくらいのセレブ・シェフに成長。

    ここ1ヶ月の間でも、つい先日、イギリス人の友人女性のご自宅で、イタリア系のイギリス人でありお料理好きな旦那様に、誕生日プレゼントしたという『Heston Blumenthal at Home』(2011年10月発刊)を見せてもらったばかり。さらに、在英歴の長い友人同士の間で、昨年オープンしたばかり、ブルメンタールによるロンドン第1号店となるマンダリンオリエンタル・ハイドパーク・ロンドン(ホテル)内にあるレストラン『Dinner by Heston Blumenthal』で来年早々誕生日祝いの食事をしたいとのお誘い。また、昨日(2012年11月4日)ニュース・エージェントの雑誌売り場に売られていたテレビ・ラジオガイド誌『Radio Times』のカバーも、ブルメンタールの顔のアップの写真。

    ブルメンタールは、料理人であるにもかかわらず、大学の教授らと共同研究して科学論文を出しているばかりか、調理への科学的なアプローチの点が認められ、複数の大学から名誉学位の称号を取得し、「料理を科学する」ことで有名なシェフ。カタツムリのポリッジにスモーク・ベーコン&エッ グ・アイスクリーム…… 液体窒素などを用いた「分子調理法」と呼ばれる独特の手法を用い、奇抜なメニューを次々と考案しては世間を驚かせている奇才。低温でじっくり料理する「スロー・クッキング」の提唱者でもあり、五感に最大限に訴えかける実験的な演出を施すことでも知られ、彼のプロフィール写真には、”アトリエ”というよりは、”実験室”  といった雰囲気の厨房で、『Kitchen Chemistry』という著書も出版、実験用のグラスをかけたり、フラスコを持っていたりする姿がよく使われています。

    英国で最も革新的なシェフと言われるブルメンタール、そのとどまるところを知らない人気に目をつけたのは、スーパーストアのウェイトローズ(Waitrose)。

    ブルメンタールは、2010年には、40年の長きに渡り英国料理の料理研究家のトップを走り続けてきたデリア・スミス(Delia Smith)とコラボにより、ウェイトローズの食品部門を監修する「大使」に認定されています。

    また、今年10月3日からウェイトローズ(Waitrose)では、ブルメンタール・プロデュースによる半調理済み食品(レディ・ミール)の新商品ラインアップ発売になりました。

    クリスマス前のこの時期は、セレブ・シェフによる「Festive Foods」というクリスマス・パーティには欠かせない料理のメニューの提案も注目され、また、クリスマスは大勢の親族・友人が家に集まる時期だからこそ、半調理済み加工食品もより大活躍、スーパーストアのその部門の販売作戦に拍車のかかる時期。

    ヘストン・ブルメンタールの新商品ラインアップも、そのクリスマス向けのFestive Foodsの売上げアップを見込んで開発されたものばかりなのです。

    つい先日、CocoLondonのブログ内でもご紹介したクリスマス時期の定番の飲み物『マルド・ワイ』も、イギリス人シェフ・ブルメンタールの手によって、ワインではなく、イギリスの伝統的なアルコール、サイダー(リンゴ醸造発泡酒)を使った『マルド・サイダー(Mulled Cider)』がパッケージ化され、ウェイトローズですでに販売が始まっています。

    ダイアモンド・ジュビリー、ロンドン五輪&パラリンピックと続いた、今年2012年のロンドン。政府関係機関やオリンピック関連機関だけでなく、あちこちの業界で『「グレート・ブリテン(英国)発」に誇りを持とう 』といったスローガンやコピーがよく見かけられた1年になりました。

    マルド・ワインではなく、イギリスではポピュラーで伝統的な飲料サイダーを使った、マルド・サイダーにトライするのも、英国で2012年の締めくくり・クリスマスを迎えるのにふさわしいと言えるのかもしれませんね。

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